ARAMASA Taku
新正 卓

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Japanese living in Tokyo and Nara, Japan

中国残留孤児のポートレイトを撮ったシリーズ『私は誰ですか』(1990年)に代表されるドキュメントを数多く発表し、常に日本人のアイデンティティを世に問い続けて来た新正卓(あらまさ たく)。2007年春、武蔵野美術大学造形学部教授の退任を機に、今後は現代美術の領域にも活動分野を広げようとしています。

2008年1月Gallery OUT of PLACEでは、< 黙示「約束の大地 /アメリカ」より プラチナプリント展 >を開催しました。このシリーズは作家が 第ニ次世界大戦下の日系アメリカ人強制収容所跡地に何度も足を運び撮影した ものをプラチナプイントで撮影したものです。遠い海外で移民として生きること、 そして戦争が我々に残したものとは?深いテーマに裏打ちされながらも、新正のファインダーの中で切り取られたアメリカの<約束の大地>は、日本人の心と移民の歴史を静かに且つ雄弁に語りかけてきます。 

またアートフェア東京2008では、作家が1998年以来取り組んで来た新シリーズ『海へ...そして境界』から一組の作品を御覧頂きます。このシリーズでは主に日本海や東シナ海の水平線を遠景に、そして海岸線やそこに自生する植物を近景に日本の「境界」にまつわる風景が撮影され2枚一組の形式で展示されています。過去から現在への「日本のアイデンティティ」を主眼にしながらも、そこには写真表現の未来を透視する新しい切り口が示されています。過去の業績に縛られること無く、より自由な表現に挑戦し続ける新正卓の新作にご注目ください。




■作家プロフィール
新正 卓 あらまさ・たく
1936  東京に生まれる
1940  旧満州に渡る
1947  酒田市八幡町に引き揚げる
1960  武蔵野美術学校商業デザイン科卒業
1960年代  アートディレクターとして広告にたずさわる
1970年代  ファッション写真家としてパリと東京で活動
1980年代から海外で移民として生きる日系人の取材を始める
1990  1092名の中国残留日本人孤児(身元未判明者)肖像写真集を有志と共に制作し、
          日本国内すべての行政窓口に無料配布
1993  武蔵野美術大学造形学部映像学科教授
2004  武蔵野美術大学造形学部映像学科主任教授
2007  退任


個展
1977『パトリシア』 ニコンサロン東京、大阪
1978『アメリカン・パロディ』 東京デザイナーズ・スペース
1979『カーナバル』キャノンサロン東京、大阪、アムステルダム
1986『遥かなる祖国 南米移民一世の肖像』朝日新聞社・有楽町マリオン、広島市博物館
1987『遥かなる祖国・土門拳賞受賞記念展』 土門拳記念館・酒田市 ニコンサロン東京、大阪
1988『遥かなる祖国 南米移民一世の肖像』大阪人権博物館リバティおおさか
1990『双家族』ニコンサロン東京、大阪
1991『私は誰ですか  親探し行動展』東京芸術劇場、箕面市、枚方市
1992『私は誰ですか  親探し行動展』福岡市、広島市
1994『酋長の系譜』有楽町アートフォーラム、高岡市、北九州市
   『The Chief』武蔵野美術大学美術資料図書館
1995『酋長の系譜』奈良・そごう美術館
         『沈黙の大地/シベリア』新宿パークタワーギャラリー1
1997『新正卓・シベリア抑留写真展』文京シビックホール
2000『約束の大地/アメリカ』ミツムラアートプラザ
2001『新正卓写真展・日系アメリカ人の肖像』日本ポラロイド本社ギャラリー
2005『ARAMASA SAKURA』Stephen Wirtz gallery, San Francisco
2006『ARAMASA Taku Photographs 黙示』武蔵野美術大学美術資料図書館
2008『黙示「約束の大地 /アメリカ」より プラチナプリント展 』Gallery OUT of PLACE, 奈良
   『ARAMASA SAKURA』 ニコンサロン銀座  ニコンサロン大阪

グループ展
1990『ドキュメント'90・ヤマト』 富山県立近代美術館
1995『モノ・カオ・反物語』東京都写真美術館
1996『東川ネットワーク'96札幌店Human Interest 人間への旅』
         『96年度・日本写真協会賞受賞記念展 』 東京都写真美術館
         『昭和11年生まれの写真家たち』 フジフォトサロン 東京・大阪
1999『東川賞創設20周年記念受賞者展』 札幌市写真ライブラリー
2000『11+1』展  ミツムラアートプラザ
   『History of Modern Photos  現代写真の系譜』ニコンプラザ東京
2003 『Only skin deep -Changing visions of american self』 International Center of P hotography, New York
2008    『 Art Fair Tokyo 2008 』東京国際フォーラム


受賞歴(selected)
1976年  日本写真協会新人賞
1986年  土門拳賞
1994年  東川国際写真フェスティバル・東川賞
1996年  第46回日本写真協会年度賞 

パブリケーション
1976  単行本『逆光珊瑚礁』文化出版局刊
          写真集『エリカ』北欧社刊
1997  写真集『パトリシア』北欧社刊
1978  写真集『アメリカン・パロディ』北斗企画
1979  写真集『カーナバル』キャノン株式会社
1980  写真集『TO MY ANGELS』全国出版
1985  写真集『遥かなる祖国 南米移民一世の肖像』朝日新聞社
1990  写真集『私は誰ですか』私は誰ですか刊行委員会
1993  写真集『酋長の系譜』講談社
1995  写真集『沈黙の大地/シベリア』筑摩書房
2000  写真集『約束の大地/アメリカ』みすず書房
2006  写真集『ARAMASA Taku Photographs 黙示』武蔵野美術大学出版局
2007  e-Book『ARAMASA Taku Photographs 黙示』武蔵野美術大学出版局+李相益

コレクション
土門拳記念館
大阪人権歴史資料館
サンパウロ日系移民資料館
サンパウロ美術館
アリゾナ大学美術館
東京都写真美術館
東川文化ギャラリー
サンフランシスコ近代美術館
International Center of P hotography/ニューヨーク
Stephen Wirtz gallery/サンフランシスコ
2007年  武蔵野美術大学美術資料図書館「 新正卓写真コレクション」永久保存



シリーズ < 約束の大地/アメリカ >
  TULELAKE,CALIFORNIA,March1997


    
left : AMACHE(Granada),COLORADO,March1997
right : TULELAKE,CALIFORNIA,August1997

 POSTON(Camp1), ARIZONA,July1996


シリーズ < 海へ...そして境界 >




■批評文抜粋

第二次世界大戦の日米開戦直後、アメリカ合衆国政府は、西海岸に住む日系人を国防の危険をもたらす可能性があるとして、アメリカ国籍の有無にかかわらず、内陸の砂漠地帯に設けた11カ所の強制収容施設(Concentration Camps)に移し、有刺鉄線に囲まれた閉域での生活を強いた。この措置に対し政府が非を認め、日系アメリカ人へ公式謝罪したのは1988年の事。ようやくこうして政治上の一つの決着がなった後、既に多くが取り壊され、消失しかかっている収容キャンプ跡地を訪ねまわり、新正のカメラアイは、余白の多い風景の中に少しずつ過去の痕跡を拾っていく。
文:大日方欣一(写真史・写真批評)   写真集『ARAMASA Taku Photographs  黙示』に寄稿された『黙示  新正卓論』から抜粋


『私は誰ですか』から『約束の大地』に至るまで、過去の歴史と対峙しながら、一貫して新正卓が写真に追い求めて来たものは、歴史の記録という以上に”見る/見られる(撮る/撮られる)”と言う関係の中で出現してくる”裂け目としての沈黙”に、生の大いなる力を聴き取る事であったにちがいない。この”裂け目としての沈黙”こそが写真というメディアが持つ感覚の縮減というプロセスによってもたらされたもののように思える。
文:大嶋浩(美術批評)  写真集『ARAMASA Taku Photographs 黙示』に寄稿された『沈黙の叙法』から抜粋


新正の撮った自然および人間の風景がここにあって、それは本当に起こったのだということを、あなたに教えてくれる。飛ぶように逃げ去っていく証拠だが、証拠であることに変わりはない。
それは未来の自由のために力を与えてくれる、滅びからの大きな贈り物だ。
文:カレン・テイ・ヤマシタ(日系3世・作家)   写真集『約束の大地/アメリカ』に寄稿された『浦島玉手箱博物館』から抜粋


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